被害【平成24年7月九州北部豪雨】中津市耶馬溪町戸原 最大水位標
|災害番号:099220|固有コード:09922072
- 市町村
- 中津市
概要(被害)
平成24年7月豪雨において発生した浸水の高さを表す水位標である。
地面から70cmの位置に水位が示されている。

【出典:大分大学減災・復興デザイン教育研究センター】
災害概要
7月12日から14日にかけて梅雨前線が朝鮮半島南岸から対馬海峡に停滞した。南西からの湿った暖かい空気の流入によって、梅雨前線の活動が非常に活発となり、大分県では北部・西部を中心に大雨となった。7月3日から5日の大雨による被害の復旧が途中の段階で再び甚大な災害が発生した。大分地方気象台は12日06時47分はじめて短文形式の「これまで経験したことのないような大雨」の気象情報を日田市、竹田市及び大分市に発表した。気象庁はこの大雨災害を「平成24年九州北部豪雨」と命名した。
7月12日、竹田市の玉来川がはん濫した。同市は中心部の6,596世帯14,599名に、豊後大野市は三重、千歳両町で145世帯425名に避難指示を、また、両市は計6,397世帯15,815名に避難勧告を発令した。竹田市では午前7時ごろまでの3時間雨量が観測史上最大の135ミリを観測した。河川の増水や土砂災害が複数発生し、玉来川で流された同市拝田原の男性(74)が死亡、男性(80)が行方不明となったほか、自宅が半壊し、家財道具などの下敷きになった同市川床の女性(92)が負傷した。
JR豊肥本線は特急列車を含む47本が運休、約2,700名に影響が出た。JR久大本線でも豊後中川-大分間で特急列車を含む14本が運休。普通列車4本で最大4時間40分の遅れがでた。高速・特急バスは熊本県内の通行止めに伴い、大分-熊本間で運休、大分-鹿児島間で迂回(うかい)運行している。
竹田、豊後大野両市で家屋20棟以上が全壊、半壊、一部損壊。浸水被害は両市のほか大分市などでも多数発生した。県教委によると、竹田市内の公立学校は小学校1校、特別支援学校1校が臨時休校し、2校が登校時間を遅らせた。
7月13日及び14日は日田市、中津市が大雨の中心となる。中津市では13日は昼過ぎ、14日は早朝に山国川が各所で氾濫したため、三光、本耶馬渓、耶馬渓、山国の各支所管内で全域または一部に避難勧告が出た。特に14日は、柿坂で07時50分
に8.41m、耶馬渓町上曽木では08時20分に9.1mの水位を記録、以後は計測できない状態となった。
日田市では花月川や有田川が氾濫し、中心部の丸山町、港町などが浸水した。国土交通省九州地方整備局によると、花月川で堤防が約40mにわたり決壊しているのが確認された。決壊したのは市内坂井町で、3日の水害で決壊し、復旧工事をして
いた。
交通機関も大幅に乱れた。国道は212号の日田市-中津市本耶馬渓町間、国道386号と210号の日田市-福岡県境間、大分自動車道は下り線は九重-朝倉、上り線は玖珠-朝倉間で通行止めとなった。JR久大本線の日田-庄内の上下線で、日豊本線は一時、中津-新田原(福岡県行橋市)で運転を見合わせた。
九州電力によると、日田、竹田市などで停電した。
【出典:大分地方気象台提供資料】

【出典:大分県土木建築部】
災害データ
- 最低気圧
- -
- 最低気圧観測地
- -
- 最低気圧観測日時
- -
- 最大風速の風向
- -
- 最大風速
- -
- 最大風速の観測地
- -
- 最大風速の観測日時
- -
- 累積最大降水量
- 612.5ミリ
- 累積最大降水量観測地
- 椿ヶ鼻
- 日最大降水量
- 368.5ミリ
- 日最大降水量観測地
- 椿ヶ鼻
- 最大日降水量の観測年月日
- 2012/7/14
- 最大1時間降水量
- -
- 最大1時間降水量の観測地
- 椿ヶ鼻
- 最大1時間降水量の観測年月日時間
- 2012/7/14 7:16
- 死者・行方不明者数
- 3人
- 負傷者数
- -
- 住家全壊/全焼数
- 33戸(棟)
- 住家半壊/半焼数
- 74戸(棟)
- 住家一部損壊数
- -
- 床上浸水数
- 536戸(棟)
- 床下浸水数
- 952戸(棟)
- 道路被害 ※事前通行規制は除く
- 416か所
- 橋梁被害
- -
- 山・崖崩れ
- 25か所
- 被害総額
- -
主な被害
マップを見る平成24年7月豪雨で二度の豪雨に見舞われ、山国川中流域においてそれぞれ約200戸の家屋が浸水したこと、特に中津市耶馬溪町平田地区・戸原地区で約70戸の家屋が浸水したことが記された石碑。
【石碑の碑文】
山国川水害復興記念碑
山国川は、これまで幾度となく水害に悩まされてきたが、「平成二十四年七月九州北部豪雨」により、観測史上最大及び観測史上二番目となる記録的豪雨に二度も見舞われ、未曾有の被害を受けた。
山国川中流域では、この二度の豪雨により、それぞれ約二〇〇戸の家屋が浸水する甚大な被害となった。
このため、国土交通省では「山国川床上浸水対策特別緊急事業」を平成二十五年五月に採択し、山国川の中流部約十キロ区間において、堤防整備や河道掘削などの緊急的な河川整備を約五ヶ年かけて実施した。
この間、事業の推進にあたり、地権者の皆様、地域の皆様、河川工学・景観工学等の学識者の皆様、そして、関係機関の皆様のご協力のもと事業の完成に至った。
今後、将来にわたり、山国川の美しい風景や自然の中で、この水害の記憶が後世に引き継がれ、地域の安全・安心、水害からの復興・発展に繋がることを心より願い、ここに銘記する。
平成三十年十一月
国土交通省 山国川河川事務所
中津市
馬溪橋周辺の河川整備に至るまでの経緯
「平成24年7月九州北部豪雨」により、中津市耶馬溪町平田地区及び戸原地区では、約70戸の家屋が浸水する甚大な被害を受けた。
浸水被害の大きな要因は、この地区に架かる馬溪橋による流下阻害であったことから、被災後、地元住民から「馬溪橋撤去の要望書」が関係機関へ出された。
河川管理者である国土交通省においても、「橋を存置しての整備は、流下阻害の大きなリスクを伴うことから、新橋への架替が望ましい」との考えであった。
一方、馬溪橋は国指定名勝耶馬溪「山国川筋の景」の重要な構成要素であり、下流の耶馬溪橋、羅漢寺橋とともに「耶馬3橋」として全国的にも文化財的価値の高い構造物であることから、馬溪橋の架替については、文化庁の文化審議会、中津市主催の馬溪橋検討委員会を経て、中津市から「馬溪橋を存置した治水対策をお願いしたい」との方針を国土交通省へ示した。
これを受けて、国土交通省では、「馬溪橋を存置しての治水対策については地域合意が前提」として、治水や文化財等の学識者を交えた「山国川治水対策検討委員会」を設置し、平成27年1月から平成28年3月にわたり、架替を含む複数の治水対策案について検討した。
最終的に、「馬溪橋を存置して、河道掘削と川幅拡幅、堤防整備を行う」治水対策案を、模型実験により地元住民と確認し合意を経て、整備方針として決定した。
また、河川整備だけでなく、防災ソフト対策や地域振興、景観保全など多分野にわたる検討を、国土交通省、中津市など関係機関が連携して取り組むこととなった。
平成30年11月 国土交通省山国川河川事務所
中津市【出典:碑文】

8軒の住宅で床上浸水があった。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
園路や湖の中に3000立方メートルの土砂が堆積した。また足元灯ほか電気設備も故障した。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
床上2.7メートルまで浸水し、フロアや体育用具が被災。復旧工事が行われ平成28年3月に完成した。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
集会所、調理室、体育館が床上浸水した。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
大野川、稲葉川が氾濫し、住宅に浸水の被害が出た。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
公民館が床上浸水、トイレに土砂流入、プールに土砂たまるなど被害があった。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
遊歩道の流出や路肩の決壊、バンガロー側の路面剥離、施設内の土砂の堆積、水道施設への被害などがあった。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
1階部分4戸、下矢倉団地集会所 が床上浸水した。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
玉来川の氾濫で橋に大量の流木が引っかかり、周辺では堤防よりも2.5メートルも越えて水があふれ出た。2014年4月に橋は撤去された。
【出典:土木学会九州北部豪雨災害調査団『平成24年7月九州北部豪雨災害土木学会調査団報告』,2013,pp.67-76】
鉄骨平屋建ての建物が1.5~2メートルほど浸水した。
【出典:竹田市『7.12竹田市豪雨災害検証会議』,2013】
6戸の床上浸水が発生した。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
玉来川の氾濫により1階席829席、2階の事務室が浸水。音響機材も被害を受け、使用できない状況が続いていたが、同じ場所で建て替えることになり、2018年10月に竹田市総合文化ホール グランツたけたとして開館した。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
吾々路川で土石流が発生、赤石川の合流地点では右岸側の堤防が崩れ、住宅地へと水があふれ出した。住宅7戸が床上浸水した。また土砂は国道212 号線に達し、通行止めの原因となった。
【出典:土木学会九州北部豪雨災害調査団『平成24年7月九州北部豪雨災害土木学会調査団報告』,2013,pp.50-52】
日田市指定有形文化財の下小竹精米製粉用水車が杉皮葺きの屋根を残して崩壊。文化財の指定は解除された。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
大分県指定文化財の1806年に架けられた県下最古の石橋。アーチの部分(輪石)を残し崩れた。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
志谷川で土石流が発生。住宅1戸と志谷集会所が全壊する被害が生じた。集会所には高さ1メートルほどまで祖者が流れ込んだ。また市道志谷線の橋も流失し2世帯が孤立状態になった。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
矢瀬地区と尾戸地区をつなぐ橋が落ちた。
コンクリート製の橋の一部が土台ごと崩壊。線路が約100メートルにわたり流失した。そのほか沿線の被害により8月19日まで不通になった。
【出典:伊藤弘行、山本晶、久保田啓二朗、大浪裕之「平成24年7月九州北部豪雨災害に関する調査」『国土技術政策総合研究所資料』第758号,2013,pp.1-73】
角度が約45度の急斜面が幅15メートル、高さ70メートルにわたり崩壊した。崖下の喫茶店に大量の樹木と土砂が覆いかぶさったが、斜面中腹に設置された対策施設が土砂をせき止めたため家屋の被害を大幅に軽減させていた。
【出典:大分県土木部『平成24年災 豪雨災害誌 ~平成24年梅雨前線豪雨を振り返って~』,2014】
80代の女性が半壊した自宅の片付け作業中に、足を6針を縫うけがをした。
JR豊肥線のコンクリート製の橋の一部が土台ごと崩落し、線路がおよそ100メートルにわたり流出した。緒方~豊後竹田間は8月20日に運転を再開した。
水源地から水を引いてくるための施設が壊れ、1070世帯でおよそ2週間にわたり水道が使えなくなった。
30代の男性が、自動車ごと夜明ダム付近の三隈川に転落し、行方不明だったが、16日10時頃に福岡県うきは市吉井町の筑後川川岸で遺体を発見した。
土砂が流れ込んで自宅が壊れ、90代の女性が両足をけがした。
70代の男性が増水した玉来川に流され死亡した。
20代の男性が倒木の撤去作業中に軽トラックの荷台から転落し、右側頭部を打撲。自衛隊のヘリコプターで病院に搬送された。
80代の男性が田んぼの様子を見に行って外出したあと行方がわからなくなっていたが、15日11時20分に大分市白滝橋付近で遺体で発見された。











































