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被害【昭和54年10月台風第20号】津久見市港町 津久見港

|災害番号:008980|固有コード:00898002

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市町村
津久見市

概要(被害)

強風のため、港内を見回り中の消防団員が、漁船と岸壁の間に左足をはさまれ、全治2か月の重傷を負った。

災害概要

卜ラック島付近の弱い熱帯低気圧は、10月6日15時台風第20号となった。この台風は、一時弱い熱帯低気圧に衰えたが、12日沖の鳥島の南方海上で中心気圧900ミリバールという猛烈な台風に発達した。その後、西北西に進み、このままの進路をとるかにみえたが、15日(9時中心気圧920ミリバール)ごろから次第に勢力を弱めながら進路を北西から北北西に変え、18日早朝には沖縄の南海上に達した。(9時中心気圧945ミリバール)。その日の午後から速度をはやめ、毎時30~40キロで北北東に進み21時(中心気圧955ミリバール)には奄美大島の北西海上に達し、19日3時(中心気圧960ミリバール)には種子島の東海上を通り、四国沖に向かい、9時40分、和歌山県の白浜付近に上陸し東進した。県の南部では、17日早朝から小雨が降り始め、夜に入って県内全域で降り始めた。18日の夜には県の南部で1時間20~35ミリの強い雨を観測するなど県下全域で雨が降ったが、19日の早朝には、弱まった。総雨量は、県の南部で350ミリを超えたところがあったが、北西部の日田地方では、100ミリ程度であった。県内の風は、18日の夜特に19~21時に強まり、大分では20時40分に最大瞬間風速18.4メートル(北北東)19時50分に最大風速11.5メートル(北北東)を観測した。その後やや弱まったが、19日4~7時に吹きかえしの風が吹き、大分では5時50分に最大瞬間風速18.8メートル(北西)を観測した。その後も気圧傾度の関係で19日の日中は、北西の風が引き続き強く吹いた。(夜に入って弱まった)。なお、台風が大分県に最も接近したのは、19日5~7時にかけてで、大分市の南東およそ210キロ。大分では5時30分に最低気圧987.5ミリバールを観測した。

台風の特性:
(1)通常、台風はフィリピンの東方海域でよく発達するが、このたびの台風は、観測史上まれな最低気圧(870ミリバール、10月12日15時)を記録した。
(2)台風は九州に接近するまで、25メートル以上の暴風域の半径400キロの勢力を維持したまま北上した。
(3)10月として、大分県に接近した台風は少ないものの一つである。
(4)気象現象からみたこのたびの台風は、秋台風の特性を備え、異常性は、見られなかった。

県調べの被害額は次のとおり。農業関係被害額9,749万円、水産業関係被害額7,040万円、林業関係被害額1億2.563万円、土木関係被害額7億4,300万円、農地関係被害額6億6,600万円、総額17億2,181万円。
(1)風雨が激しかった19日2時ごろ、臼杵市一ノ瀬付近の県道で、川が増水し道路上にあふれた。濁流のため、乗用車もろとも流され1人が死亡した。また、同日6時ごろ、津久見市の港内を見回り中の消防団員が、漁船と岸壁の間に左足をはさまれ、全治2か月の負傷をした。
(2)19日未明、久住町では突風が吹き荒れ、県畜産試験場や県草地畜産開発センターで作業用の建物が倒壊、場内の松やコンクリートの電柱が、折れたり倒れるなどの被害が続出した。幸いに人や家畜には被害はなかった。
(3)20日早朝、杵築巿の山間部で増水したため池が幅約30m決壊、約5万tの鉄砲水がみかん畑や稲田を押し流し、近くの人家に浸水、水は約1,800m離れた八坂川に流れ込んだ。この事故で杵築市消防署では、池の下手にある住民に避難命令を出すなど警戒したが、人畜に被害はなかった。
その他、陸上交通の運休や、海空の便の欠航が相次いだり、停電などがあった。

【出典:大分県災異誌 第4編(昭和46年~55年)(1981.12)】

【昭和54年10月台風第20号】

【出典:1979/10/18 21:00の天気図】

災害データ

最低気圧
987.5hPa
最低気圧観測地
-
最低気圧観測日時
1979/10/19 5:30
最大風速の風向
北北東
最大風速
11.5メートル
最大風速の観測地
大分
最大風速の観測日時
1979/10/18 19:50
累積最大降水量
93ミリ
累積最大降水量観測地
蒲江
日最大降水量
257ミリ
日最大降水量観測地
宇目
最大日降水量の観測年月日
1979/10/18
最大1時間降水量
-
最大1時間降水量の観測地
蒲江
最大1時間降水量の観測年月日時間
1979/10/19 1:00
死者・行方不明者数
1人
負傷者数
-
住家全壊/全焼数
戸(棟)
住家半壊/半焼数
2戸(棟)
住家一部損壊数
4戸(棟)
床上浸水数
10戸(棟)
床下浸水数
189戸(棟)
道路被害 ※事前通行規制は除く
253か所
橋梁被害
2か所
山・崖崩れ
5か所
被害総額
1,721,806 千円

主な被害

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県畜産試験場や県草地畜産開発センターで作業用の建物が倒壊、場内の松やコンクリートの電柱が、折れたり倒れるなどの被害が続出した。人や家畜には被害はなかった。

山間部で増水したため池が幅約30メートル決壊、約5万tの鉄砲水がみかん畑や稲田を押し流し、近くの人家は浸水。水は約1800メートル離れた八坂川に流れ込んだ。この事故で杵築市消防署では、池の下手にある住民に避難命令を出すなど警戒したが、人畜に被害はなかった。

川が増水し県道の道路上にあふれた。この濁流のため、乗用車もろとも流され1人が死亡した。

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