大分県災害データアーカイブ|大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD) NHK大分放送局 × 大分大学減災
復興デザイン教育研究センター(CERD)

災害【大正2年5月豪雨】

発生期間 大正2年5月17日-

災害の種別
大雨
市町村
豊後大野市

概要

大野郡柴原村で築造中のため池が、豪雨のために決壊し、家屋の流失や人畜の死傷(5戸13棟流失、11人溺死)があった。

災害データ

最低気圧
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最低気圧観測地
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最低気圧観測日時
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最大風速の風向
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最大風速
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最大風速の観測地
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最大風速の観測日時
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累積最大降水量
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累積最大降水量観測地
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日最大降水量
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日最大降水量観測地
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最大日降水量の観測年月日
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最大1時間降水量
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最大1時間降水量の観測地
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最大1時間降水量の観測年月日時間
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死者・行方不明者数
11人
負傷者数
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住家全壊/全焼数
13戸(棟)
住家半壊/半焼数
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住家一部損壊数
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床上浸水数
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床下浸水数
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道路被害 ※事前通行規制は除く
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橋梁被害
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山・崖崩れ
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被害総額
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主な被害

マップを見る

築造中のため池が、豪雨のために決壊し、家屋の流失や人畜の死傷(5戸13棟流失、11人溺死)があった。この溜池は水面が6000坪あり、堤防の延長は83間、決壊の箇所はその中央部の45間。この損害は1万5000円で、田畑の損害は約3万円で田地の全く荒蕪になったものが10町歩、復旧の見込みがあるものが17町歩あり、溺死者の死体は近村の消防夫が総出で捜索しているものの昨日(16日)午前までに4名が発見された。

風呂前溜池は土手の勾配が急で水圧に耐えうるかどうか築造中から設計に疑問が感じられていた。こうした弱い構造と当日の豪雨が悲惨な事故を引き起こした。溜池の復旧に大分農工銀行から3万円を借り入れていた。区民はその償還に苦しみ、土地を手放そうとしたが、土地に対する負担金のため引き取り手もなかったという。

災害の復旧は柴原村内はもちろん、井田村、長谷村、犬飼町、大野町などから助勢を得て行われた。これによって一応の後片付け程度の復旧はできたが、溜池と耕地の復旧は程遠いことであった。これを放置すれば56000円を投じた耕地整理事業は水泡に帰すことになる。しかし、前工事の借入金の返済もあることから、工事着手は大正6年3月になった。営々とした努力の結果、30頂町歩の開田、古田の用水補給21町歩におよぶ事業が完成した。

【出典:豊州新報 大正2年5月17日3面/千歳村誌(千歳村史刊行会編、千歳村、1974)】

風呂前溜池の決壊により、人家5戸、死者11名、牛2頭の斃死の被害を出した。築造中の堤の真ん中が決壊し、奔流は「向うの山」の8合目まで突かけ、河向集落の5戸のうち、蔵1棟を残して破壊してしまった。祖母の家に遊びに来て馬屋の2階に寝ていた小学校に入学したばかりの男の子は頭に2寸角くらいの傷を受けて即死、3日後に人家の下のおびただしいゴミの中から発見された。一緒に寝ていたいとこの2人は1週間目に原田付近の大野川で、もう1人は18日目に柴山で発見された。2人の?末の妹は母屋を出たときに奔流にさらわれ1棟残った蔵の下に荒い寄せられていた。母親は流され死亡した。ほか7人がこのとき死亡した。

【出典:千歳村誌(千歳村史刊行会編、千歳村、1974)】

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