災害【昭和38年1月豪雪】
発生期間 昭和38年1月- ) |災害番号:006910|固有コード:00691000
- 災害の種別
- 大雪
- 市町村
- 九重町 竹田市
概要
今回の大雪の特色は、なんといっても異常に強く、かつ長時間にわたって、冬型の気圧配置が崩れず、北西の季節風の吹く中をシベリア大陸の寒気を誘う気圧の谷が、つぎつぎと南下してその都度積雪をもたらせたものである。これらの寒気はいずれもパイカル湖付近から朝鮮半島に向って南下したもので、九州北方通過に際して大雪となっており、一方カムチヤッ力半島付近に停滞した温暖な高気圧の影響をうけて、日本付近の寒気の移動が極めておそかったことがこの大雪の原因の一つになっている。
【出典:大分県災異誌 第3編(1975)】
大分県の降雪は、回数量ともに少なく、他の災害にくらべると、あまり問題にされずに過ぎてきたようだが、それでも暖地特有の湿性雪のため、山間地帯(玖珠・大野・直入・日田)及び国東半島一帯では電線の着雪がひどく、その為通信線および送電線が切断し、これに伴って、電柱の倒壊、電話回線の故障が続出する。
また、最近のめざましい文化の向上にともないバスの交通途絶が顕著で、国鉄のダイヤの乱れ、そのほか農・林・漁等の諸産業形態の変化に伴う雪害は軽視できなくなった。また近くは久住山登山者の遭難の例もあり大雪による人的被害も一応考慮に入れねばならない。大分県の過去の大雪の記録をみると、県内の降雪分布とその時の気圧配置との間に、相関連した特徴がある。大分県の雪害はつぎの2つの型のいずれかによって起こされていると言えよう。即ち
(1)季節風によるもの……いわゆる西高東低の冬型の気圧配置で、季節風が九州付近でも特に卓越する場合の降雪によるもの。今回の大雪もこの種に属し、玖珠・日田などの西部山間地帯ならびに国東半島一帯に大雪が降る。
(2)九州南方を通る低気圧によるもの……冬期から早春にかけて、台湾付近または東支那海南部にある低気圧が発達したがら北東進し、九州南方海上を接近して通過する場合の降雪によるもので、主として県山間地帯の全般にわたり大雪が降る。大分市の積雪の深さの記録は、この第(2)型の場合に出る。
【出典:1963/1/6 9:00の天気図】
災害データ
- 最深積雪
- 0.52メートル
- 最深積雪の観測地
- 東都甲
- 死者・行方不明者数
- -
- 負傷者数
- -
- 住家全壊/全焼数
- 1戸(棟)
- 住家半壊/半焼数
- 2戸(棟)
- 住家一部損壊数
- 49戸(棟)
- 床上浸水数
- -
- 床下浸水数
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- 道路被害 ※事前通行規制は除く
- -
- 橋梁被害
- 5か所
- 山・崖崩れ
- 34か所
- 被害総額
- 3,093,305 千円
主な被害
マップを見る法華院温泉に居住している12人が孤立して食糧等が不足し、輸送が不可能な状態にあったため、1月30日午前11時10分陸上自衛隊湯布院駐屯地を通じ、航空自衛隊芦屋基地司令に対し災害派遣を要請した。
この要請に対して翌31日午前9時10分同基地のヘリコプター1基が出動、午後1時16分から午後3時10分までの間、久住町都野中学校に集積してあった食糧及び燃料等約20日分510kgを3回に分けて空中投下した。現場は久住山、大船山等の間の標高1300mの地点である。【出典:消防年報〔昭和39年〕】
九重山硫黄鉱業所従業員約150人が孤立して食糧及び燃料が不足し、道路の除雪が困難を極めていたため、1月30日12時10分、陸上自衛隊玖珠駐屯地司令に対し災害派遣を要請した。この要請に対して同日午後1時同駐屯地の隊員120人が出動、翌31日午後3時30分までにわたり、飯田小学校南1Kmの地点から南へ約250mの間の県土木事務所のブルドーザーによる除雪作業を支援した。現場は吹き溜まりで3mに及ぶ積雪があった。
【出典:消防年報〔昭和39年〕】