被害【平成3年9月台風第19号】国東町鶴川 桜八幡宮
|災害番号:010080|固有コード:01008034
- 市町村
- 国東市
概要(被害)
社叢内のコジイ、スダジイ、クスノキなど7、8割の木が倒れた。
【出典:大分合同新聞1991年10月3日朝刊23面】
災害概要
16日マーシャル諸島で発生した台風第19号は、27日大型で非常に強い勢力を保ち、九州西海上を北北東に進み同日16時すぎ佐世保市の南に上陸した。その後台風は、九州北部を通って山陰沖に進んだ。このため県下は、27日昼すぎから暴風域に入り、同日夕方を中心に20時ごろまで強風が吹き荒れた。強い風の吹いた地城は、県南の内陸部の一部を除いて全域にわたり、日田では統計開始(1944)以来第1位、大分では同(1940)第2位の最大瞬間風速を記緑した。一方、雨は下障子(倉木)で178ミリに達したのをはじめ、県の南部を中心に100ミリを超えた。
この台風は典型的な「風台風」だった。人的被害はすべて強風によるもので飛んできた屋根がわらやトタンが直撃したり、倒木の下敷になるなどして死傷者がでた。林業被害は県の西部・北部で杉やヒノキが根こそぎ倒れたり、折れたりして山林の被害は22529ヘクタールに及んだ。また、農業被害も大きく、なかでもビニールハウスの倒壊、破損は5700件に達したほか、ナシやクリ、野菜、水稲なども被害を受け、日田市・郡のナシ園では90%以上も落果や全滅したナシ園もでた。このほか、豊後高田巿や東・西国東郡の海岸部では水稲を中心に塩害が広がり、水稲は塩分で葉が白くなり脱水状態で生育不良となった。倒木や電柱倒壊による電線の断線などで県下は大停電となった。27日20時には県全域の32パーセントにあたる18万3100戸が停電した。被害の最も多かったのは、大分管内で4万5400戸(23パーセント)、次いで中津管内3万1100戸(72パーセント)、日田管内2万7700戸(66パーセント)、宇佐管内2万4500戸(56パーセント)などで、玖珠管内では全契約戸数の94%が停電状態となった。大分県災害対策対策本部が、27日18時00分から27日22時20分の間設置された。
【出典:大分県災異誌 第6編(平成3年-平成12年)(2002.3)】
【出典:1991/9/27 9:00の天気図】
災害データ
- 最低気圧
- 959.6hPa
- 最低気圧観測地
- -
- 最低気圧観測日時
- 1991/9/27 17:25
- 最大風速の風向
- ×
- 最大風速
- 25メートル
- 最大風速の観測地
- 豊後高田
- 最大風速の観測日時
- 1991/9/27 20:00
- 累積最大降水量
- 178ミリ
- 累積最大降水量観測地
- 下障子
- 日最大降水量
- 153ミリ
- 日最大降水量観測地
- 下障子
- 最大日降水量の観測年月日
- 1991/9/27
- 最大1時間降水量
- -
- 最大1時間降水量の観測地
- 日田
- 最大1時間降水量の観測年月日時間
- 1991/9/27 19:50
- 死者・行方不明者数
- 1人
- 負傷者数
- 206人
- 住家全壊/全焼数
- 78戸(棟)
- 住家半壊/半焼数
- 945戸(棟)
- 住家一部損壊数
- 54963戸(棟)
- 床上浸水数
- 2戸(棟)
- 床下浸水数
- 148戸(棟)
- 道路被害 ※事前通行規制は除く
- 441か所
- 橋梁被害
- -
- 山・崖崩れ
- 181か所
- 被害総額
- 89,610,533 千円
主な被害
マップを見る体育館の屋根のトタンの8割が吹き飛ばされ、床板も雨水で膨張して波を打った。
【出典:大分合同新聞1991年10月8日朝刊19面】
杉350本をはじめ、ヒノキや桜、竹など合わせて460本がなぎ倒された。石垣の一部も壊れた。
【出典:大分合同新聞1991年10月3日朝刊23面】
屋根を破損した。
【出典:大分合同新聞1991年10月3日朝刊23面】
校舎の屋根がわら約500枚を吹き飛ばし、側壁のモルタルを引きはがした。9人の教職員と24人の児童は雨漏りを避けて約200メートル離れた日出生中学校に“疎開”、3階部分を間借りして仮授業を続けた。
【出典:大分合同新聞1991年10月8日朝刊19面】
電気や水道が使えず、児童は、教室などを掃除したり、窓側の明るい場所で作文や計算練習をし、授業は午前中で切り上げた。
【出典:大分合同新聞1991年10月1日朝刊15面】
61戸の町内全体が停電し、町内2か所で断水した。
【出典:大分合同新聞1991年10月1日朝刊15面】
校舎屋根が強風で被害を受け、アルミがわらがめくれた。このため各教室で雨漏りがし、9月30日の授業は午前中、体育館での自習となった。屋根は一部で穴があき、雨水が2階ばかりでなく、1階にも漏れてきている。
【出典:大分合同新聞1991年10月1日朝刊15面】
村有形文化財の神社が強風で倒れた大杉の下敷きになって壊れた。倒れたのは神社の拝殿、神殿のすぐ横にあった大杉で樹齢300年ほどとか。拝殿、神殿の真上に倒れた。
【出典:大分合同新聞1991年10月2日朝刊15面】
強風で県指定天然記念物の大スギ20本が根こそぎ倒れた。倒れた大スギはいずれも胴回り約4メートル、高さ40数メートル。参道の両側にあり、根元からバッタリ。直径4メートルほどの大穴をあけて倒れている。参道は倒れたスギで通れず、参道にある小屋や拝殿も押しつぶされた。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊15面】
樹齢数百年を数える大木、巨木数十本が根こそぎ倒れ、境内の入り口の門や神楽殿を全壊させた。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊23面】
神殿が強風で折れた大木の下敷きになり大破した。大木は、境内の樹齢600年のムクの木。高さが約30メートル、幹の周りが6メートルもあり市の銘木に指定されている。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊23面】
山門が突風で倒壊した。住職の話では、激しい突風が吹き、「スローモーションの映画を見るように4本の柱が浮き上がり、あっという間に後方に倒れた」と言う。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊23面】
駅前アーケードが強風にあおられて、アーケード下部の外板が長さ約20メートル、幅約4メートルにわたり崩れ落ちた。通行人がいなかったため、けが人はなかった。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日夕刊7面】
配電盤を設置してある建物が強風のため倒壊、浄水場の機能が止まった。大幡、三保、鶴居校区などの計約8000世帯で断水が続いている。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日夕刊7面】
ご神木のカヤの木が強風で倒れた。樹齢500年といわれ、高さ20メートル、幹周り3メートルの第僕は根本からポッキリ。神社の入口をふさぐ格好で倒れ、寛文12年の作という村重要文化財の鳥居や仁王像の頭の部分も木の下敷きになって壊れた。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊14面】
県指定の特別保護樹ダイオウショウが倒れたほか、イチイガシなどが群生した国指定天然記念物の神宮の森のあちことで木が倒れるなどの被害が出た。本殿や楼門などの屋根が破損した。
【出典:大分合同新聞1991年9月29日朝刊14面/10月3日朝刊23面】
木造住宅(約70平方メートル)が突風で吹き飛ばされた。住んでいる人は逃げ出して無事。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
台風による大雨、強風のため、豊後高田巿や東・西国東郡の海岸部では水稲を中心に塩害が広がり、水稲は塩分で葉が白くなり脱水状態で生育不良となった。
70パーセント近い実が強風で落下した。落下した実は1000箱、約20トンに達し、被害額は2000万円を超えそう。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日夕刊7面】
市指定天然記念樹の藤の棚が倒壊、葉が覆い茂った枝の一部はそばの寒田川に突っ込んだ。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日夕刊7面】
市道で30代と20代の男性が道路をふさいでいた杉の倒木を除去していたところ、強風で別の杉3、4本が倒れかかった。30代の男性は全身を強く打ち、20代の男性は肩などに軽いけが。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
観覧席の屋根が吹き飛ぶ被害を受けた。観客席のトタン屋根(幅37.5メートル、長さ60メートル)は本走路や練習用走路まで飛び、跡形もなくねじ曲がっていた。観客席のほとんどのガラスが割れ、土台の鉄骨がむき出しになっている。レース結果を知らせる掲示板やスターティングゲートが使えなくなったほか、厩舎も屋根が飛んだ。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面/夕刊7面】
裏山から直径約4メートル、重さ約5トンの石が台所を直撃した。この時、割れたガラスの破片で30代の女性ら家族3人が軽いけが。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
自宅の屋根の修理をしていた40代の男性が転落して負傷した。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
旧安川電機柴石保養所の「梅の寮」(木造平屋建て、約100平方メートル)が強風のために倒壊した。けが人はなかった。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
国道197号線沿いにある住宅の鉄骨スレートぶきの屋根(縦約15メートル、横約20メートル、重さ推定7トン)が、強風に吹き飛ばされ、約20メートル離れた同国道反対側の3階建てビルと電柱を直撃。ビルの一部を壊し、電柱2本を折った。けが人はいなかったが、直撃のショックで、送電線と電柱が損傷し、付近一帯が停電。また屋根の一部が同国道の2車線をふさぎ、交差点の信号機が点灯しなくなったため、現場付近が渋滞した。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
造船所に勤める30代の男性が建造中の船のそばにある資材を片付けていたところ、強風にあおられ転倒、腕などにけがをした。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
住宅の窓ガラスが割れ、小学3年生の男の子が顔、左足にけがを負った。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
30代の女性が自転車を押して帰宅中、飛んできたトタンで頭を切り18針を縫うけがを負った。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
60代の男性が自宅近くの駐車場で倒れているのを近所の人が見つけた。男性は町内の病院に運ばれたが、頭の骨を折っておりまもなく死亡した。警察の調べでは、男性は「駐車場の車に物が当たっているかもしれない。見に行く」と午後5時すぎに自宅を出た。男性が倒れていた付近にはかわらが散乱しており、風で飛んできたかわらが頭に当たったらしい。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
出店の後片付けをしていた40代の女性の顔に突風で飛んできた木か石のようなものが当たり、顔面骨折で1か月の重傷を負い入院した。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
市道で近くのトタンぶきの車庫が風で倒れ、車庫に使っていた木材が中学生の額に当たり軽いけがを負った。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
商店街アーケード入口近くの看板が風で倒れ、通りがかった40代の女性が下敷きになった。女性は頭を打撲、左足首などにけがを負った。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
パチンコ店の駐車場で強風に飛ばされそうになった店の看板を押さえていた40代の男性が看板と一緒に吹き飛ばされた。男性は左肩を打撲、頭にけがを負った。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
境内の鐘つき堂が突風のために倒壊した。鐘つき堂は約50年前に建てられた木造で、かわらぶき。鐘の重さは約400キロ。強い風にあおられて4本の柱が土台部分から倒れた。
【出典:大分合同新聞1991年9月28日朝刊19面】
林業被害は県の西部・北部で杉やヒノキが根こそぎ倒れたり、折れたりして山林の被害は22529ヘクタールに及んだ。