NHK大分放送局 × 大分大学減災・
復興デザイン教育研究センター(CERD)

大分県では21日昼ごろから降り出した雨が夕方から夜半にかけて、ところどころで雷雨となり雨量は、22日朝までに県西部で100〜150ミリに達した。いったん北上した前線は22日昼ごろから南下を始め22日15時には、北部九州まで下がり、21時には五島・阿久根・宮崎を結ぶ線まで南下した。この間県内では、雷を伴った強い雨が断続的に降り、夕方から23日の朝にかけて再び県西部を中心に強い雨が降った。この方面の雨量は150ミリ前後に達し、日田郡釈迦岳では192ミリの雨となり前日からの合計雨量は353ミリに及んだ。23日には九州南部まで南下していた前線が気圧の谷の接近に伴って再び北上を始め、23日の午後には九州北部に停滞した。小低気圧がこの前線上を23日夜半にかけて通過した。しかし強い降雨域は熊本県南部から鹿児島県に移り、県内の雨は小康状態となった。24日には低気圧の通過後前線が九州の中・南部に移り大分県南部から熊本県南部にかけて停滞し、県内にも一時雷雨があったが、雨は日田方面を除いてあまり多くはなかった。

21日から25日にかけて、時々雷を伴った強い雨が降り、県下各地にかなりの被害があった。被害の多かったのは県北部、西部から中部にかけてで、22日の午後、山国川の上流で魚釣りをしていた男が増水中の支流に落ちて行方不明になったほか、日田、玖珠署管内など西部から中部にかけて、がけ崩れが多かった。また、23日朝には中津署管内では家屋の床下浸水があった。大分県が23日現在、まとめた県下のおもな被害は、土木関係の7億円をはじめ、総額9億8,377万円であった。

【出典：大分県災異誌 第4編(昭和46年～55年)（1981.12）】