大分県の災害の特徴
大分県では、梅雨期や台風により、土砂災害や豪雨災害が毎年のように発生しています。
また、今後30年間で70〜80%の確率で発生するとされる南海トラフ地震では強い揺れとともに津波による被害が想定されています。
県中部や北部沖合に分布する活断層が引き起こす地震への備えも必要です。
さらに、活火山である鶴見岳・伽藍岳、由布岳、九重山を有しており、市街地への影響も懸念されます。
豪雨災害
⼤分県の気象特性として、6〜7 ⽉には梅⾬前線の停滞に伴う⼤⾬によって県北⻄部で、8〜10⽉には台⾵の通過に伴う⼤⾬によって県南東部で災害が発⽣する傾向があります。
⼤分県は広く⼭地に覆われているため、豪⾬による⼟砂災害が多く発⽣します。⼟砂災害による被害の恐れがある場所を⽰す⼟砂災害警戒区域の数は24,606箇所と全国で6番⽬に多く(図2)、⼤分県における⼟砂災害のリスクを⽰しています。
平成29年7⽉九州北部豪⾬および2023年7⽉の豪⾬では県北⻄部で線状降⽔帯が発⽣し、⼤⾬特別警報が発表される豪⾬となり、⽇⽥市北部や中津市⻄部では⼟砂災害が発⽣しました(図3)。
また、⼤分市や中津市、⽇⽥市、佐伯市などの中⼼部は低地に位置しているため、洪⽔による被害が発⽣します。2012 年の九州北部豪⾬では⽇⽥市を流れる花⽉川沿いで浸⽔被害が発⽣しました。洪⽔による被害は平野部だけでなく、⼭間部の河川沿いでも発⽣します。
令和2年7⽉豪⾬では、⽇⽥市天瀬地区を流れる玖珠川が氾濫し、河川沿いに⽴地していた旅館や家屋が⼤きな被害を受けました(図4)。
さらに、台⾵が⼤分県付近を通過する時間と満潮の時刻が重なると、沿岸部で⾼潮災害が発⽣します。
地震災害
南海トラフ地震は、今後30年間で70〜80%の確率で発⽣するとされています。南海トラフ地震はこれまでにも100〜200年の間隔で発⽣しており、1854年の安政南海地震や1946年の昭和南海地震では⼤分県域でも死者が⽣じました。
南海トラフ地震では県東部が強い揺れに襲われ、佐伯市沿岸部では26分で津波が到達します。特に、県南東部の沿岸は複雑に⼊り組んだリアス海岸となっており、⾼い津波が押し寄せる可能性があります。南海トラフ地震では、佐伯市で10m前後、津久⾒市から国東市までの沿岸部で5m前後の津波が到達すると想定されています。
⼤分県には、中央構造線断層帯、⽇出⽣断層帯、万年⼭−崩平⼭断層帯といった活断層が⼤分市から別府市、由布市、九重町、玖珠町に分布しています(図1)。活断層は居住地域の近くに分布し、浅いところで地震が発⽣するため、⾮常に⼤きな被害をもたらします。
また、活断層が活動すると、地表まで断層のずれが達することがあり、直上にある建物は基礎から破壊されてしまいます。
1596年に別府湾で発⽣した地震(⽂禄豊後地震)は中央構造線断層帯の⼀部が活動した地震であり、別府湾周辺で強い揺れと津波により⼤きな被害が⽣じました。
また、中津市から豊後⾼⽥市の沖合には周防灘断層帯が分布しています(図1)。周防灘断層帯は今後30年間で地震が発⽣する可能性が国内の中で⾼い活断層で、活動した場合には強い揺れとともに津波が発⽣すると想定されています。
火山災害
⼤分県は活⽕⼭である鶴⾒岳・伽藍岳、由布岳、九重⼭を有しています(図1)。
このうち鶴見岳・伽藍岳では、867年に⽕⼭灰を噴出する活動があったことが知られるほか、2022年には噴⽕警戒レベルが⼀時1から2に引き上げられました。活⽕⼭の周辺は温泉が湧出する観光地となっており、⽕⼭が活動した際には⼤きな混乱が予想されますが、⼀⽅で⾃然の恵みをもたらしてくれる存在でもあります。