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被害【昭和51年12月異常低温・積雪】豊後高田市 桂川

|災害番号:008610|固有コード:00861003

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市町村
豊後高田市

概要(被害)

結氷現象が見られた。

災害概要

昨年12月25日、低気圧が発達しながら、九州の南海上を、東進したあと、26日から優勢な大陸の高気圧が張り出して、強い寒気が次々に南下した。その間、一時的に、寒気が弱まったこともあったが、強い冬型気圧配置が、2月下旬の初めまで続いた。このように長期間の異常低温は、昭和38年以来であった。

大分で異常低温が現われた期間は、12月26日~1月7日、1月末~2月上旬2月15日~19日である。12月26日〜1月7日の気温を過去の統計値と比較すると、日最低気温(期間平均-1.6度、平年1.6度)では特に記録的ではないが、日最高気温(期間平均5.5度、平年10.4度)で今回の場合は、観測開始以来の低い記録となっている。また、日平均気温(期間平均1.8度、平年6.0度)では、大正6~7年(1917~1918)のこの期間に、同様な傾向がみられ、この時の平均気温は、1.7度となっている。以後、この期間に今回のように、長期間低温か続いた記録はない。また、2月15日~19日の5日間の過去の記録では、明治43年(1910)1月31日~2月4日、大正6年(1917)1月8日~12日の日最低気温の平均が、いずれも-4.7度で今年と同じである。今年のこの期間の平均気温-0.7度(平年5.4度)、同最高気温の平均3.8度(平年10.3度)、同最低気温の平均-4.7度(平年1.0度)で、その他の年に、このような低温記録はない。最低気温の極値としては、2月19日の-7.1度が2月としては第3位で、観測開始以来第6位であった。また、日田測候所では、2月19日の-9.9度は2月としては第1位、観測開始以来第3位の記録となった。

この期間、県内全域の降雪状況は十分に把握しにくいが、雪が降らなかったのは1月中旬後半から下旬前半、2月中旬前半、2月下旬後半で、その他の日は、県の北部・西部を中心にほとんど降雪があったと思われる。特に降雪が多かったのは、12月26日~1月5日、1月12~14日、1月下旬後半から2月上旬前半、2月10日、2月15~18日である。12月26日~1月5日の期間については、12月27日、日田測候所では、12月としては、観測開始以来第1位の8センチを記録、大分気象台では、ほとんど連日降雪を観測している。県の西部・北部・国東地方では、12月27〜28日に平野部で5〜15センチ、山沿い地方では、10センチ以上の積雪のあったところもあった。1月4〜5日は国東地方の平野部で5センチ以上、山沿い地方で10センチ以上の積雪のあったところもあった。1月下旬後半から、2月上旬前半については、特に大雪にはならなかったが、県下全般に雪が降り、31日朝、佐賀関町周辺でも平地で1センチと、この冬初めての積雪となった。また、2月3日は、北部や北西部で積雪があり、平地で5〜10センチ、山沿い地方で10センチ以上のところもあり、ふだんは雪の少ない県南の津久見市や佐伯市でも、うっすらと雪が積った。2月5日も北部や、国東地方の平野部で5〜10センチ、山沿い地方では、10センチ以上のところもあった。2月9日夜から降り始めた雪のため、10日朝には、県内全域がスッポリ雪に覆われ、大分市中心部でも午前3時には、積雪を観測したほか、竹田市で30センチ、北部や西部の平野部で5〜20センチ3,山沿い地方では、50センチ以上のところもあった。南部の三重町や宇目町で10〜15センチの積雪となり、「7〜8年ぶりの大雪であった。」と土地の人は話している。2月15〜18日は、県内全般に雪が降り、北部や北西部の平野部で10〜20センチ、山沿い地方で30センチ以上に達したところもあった。

(1)交通
ア 12月16日~1月7日、国東地方を中心に、バスの運休、大分空港の一時欠航、遅延などがあった。
イ 1月13日、県の西部を中心に、バスの運休、大分空港の一時欠航、遅延があった。
ウ 1月31日、立石峠でスリップによる追突事故があり、10号線は、半日交通がマヒした。
エ 2月3日、山沿い地方を中心に、バスが運休。
オ 2月10日、山沿い地方を中心に、バスが運休。車のスリップ事故、国鉄日豊線、宮原線各2本運休、その他遅延、大分空港午前中1時間内外の遅延。カ、2月15~19日、山沿い地方を中心に、バスの運休続出、スリップ事故続出。国鉄の一時運休や遅延、大分空港の一時欠航や遅延。
(2)水道
期間をとおして主なものは、次のとおり。
ア 1月7日、県内各地で水道管が、凍結。
イ 2月16~23日県内全域にわたり水道管の凍結、破裂などの事故続発、中津市16~20日、2,200件(昭和3年水道設立以来の記録)。豊後高田市16~18日、650件、日田市16〜18日、860件、別府・大分市ともに、開設以来の最大の事故件数(凍結、破裂等)。
(3)農作物(大分県農政部3月5日現在のまとめ)
果実(甘夏カン)4億2,800万円…臼杵市など
茶9,600万円…竹田市・日出町など
果樹(温州ミカン・甘夏カン)の樹体 28億9,600万円…日出町・臼杵市など
その他(野菜など)8,800万円
なお、最終の被害総額は、52億2,917万円となっている。
(4)電力
2月9日夜から10日早朝にかけて、雪が電線に積ったための断線などが原因で、約23,000戸が停電。
(5)通信
2月16〜19日の異常低温で、一部の地方で配線関係に、被害があった模様。
(6)学校・生活
期間をとおして山沿い地方を中心に、学校の臨時休校・野菜・鮮魚の値上りなど、異常低温により国民生活にも大きな影響があった。また、気象だけが、原因かどうか不明だが、カゼの大流行による学校・学級閉鎖が、県内各地で、かなりの数に達した。
(7)その他
1月4日、奧別府志高湖"氷の湖”となる。7年ぶりの現象で厚さ2〜7cmに達す。2月17日、豊後高田市の桂川で、また、大分市毘沙門川で結氷現象が見られた。大分市城址公園で堀の水が結氷した。

【出典:大分県災異誌 第4編(昭和46年~55年)(1981.12)】

災害データ

死者・行方不明者数
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負傷者数
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住家全壊/全焼数
戸(棟)
住家半壊/半焼数
戸(棟)
住家一部損壊数
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床上浸水数
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床下浸水数
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道路被害 ※事前通行規制は除く
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橋梁被害
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山・崖崩れ
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被害総額
5,229,172 千円

主な被害

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堀の水が結氷した。

異常低温のため、”氷の湖”となる。

スリップによる追突事故があり、10号線は、半日交通がマヒした。

結氷現象が見られた。

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